会計職人は、バージョン7.4以降は、電子帳簿保存法に対応しています。
JIIMA(公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会)の電子帳簿ソフト法的要件の認証も受けています。
ただし65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、以下の電子帳簿保存法のもとでの運用とともに
税務署への届出書が必要となります。
電子帳簿保存法では、システムの機能だけでなく運用の方法、マニュアルの記載などについても規定があります。
ここではそれらの説明を記載します。
帳簿書類は紙で保存することが原則であり、たとえ電子データで作られたものであっても、
印刷して紙で保存する必要がありました。
電子帳簿保存法は、一定のルールのもとに電子データでの保存を認めるものです。
会計職人の中で、電子帳簿として保存する義務のある帳簿は次の通りです。
・「資金繰表」…取引の明細を記帳するものです。一般の「仕訳帳」にあたります。
・「総勘定元帳」…取引を科目ごとに整理した表です。
・「減価償却表」…減価償却対象の固定資産の表です。一般の「固定資産台帳」にあたります。
@電子帳簿保存法が求めるルール
電子帳簿保存法が求めるルールには次のものがあります。
・帳簿の備付けと保存…10年間の保存とマスター関連の履歴確保
・真実性の確保…記帳の修正/削除履歴の保存や操作日付加など
・可視性の確保…帳簿内容や検索結果の速やかな表示/印刷ができること
・運用の事務手続き(入力の時期/方法等)を明らかにした書類を整備すること
A上記に対応する会計職人の機能の追加と変更
電子帳簿保存法が求めるルールに対応するための会計職人の機能追加/変更は以下の通りです。
◇操作パネルの「その他設定メニュー」に、下図の[電子帳簿保存法メニュー]を追加しました。
※このメニューの[電子帳簿保存法の設定]の操作方法は後述の「(4)電子帳簿保存法の運用への切り替え」の
項をご覧ください。
[履歴の処理]欄の各メニューの操作は、「■日々の運用」の「11.その他設定メニュー」の
「(3)電子帳簿保存法対応の運用」の項をご覧ください。
◇「資金繰表」の変更
・「資金繰表」で「確定」明細に対し操作日や一連番号を自動付加します。
・修正/削除の履歴を生成し保存します。
※上記の変更は、システムが自動的に行い、操作方法は従来と全く同じです。
◇「年度更新」の変更
・決算申告終了時のバックアップを決算申告書類用のファイルも含めてフォルダ単位で保存するように
変更しました。
(これは電子帳簿保存法に対応しない場合でも同様となります。)
・電子帳簿保存法に関連する留意点をマニュアルに記載しました。
◇前項の確認のためにマニュアルに「特記事項」を追記します。(次項)
電子保存法対応の運用をされる方は必ずお読みください。
◇その他につきましては、従来の会計職人の機能のままで問題ありません。
◇「運用の事務手続き(入力の時期/方法等)を明らかにした書類」のひな型を、「ダウンロードサイト」に
用意しました。
電子帳簿保存法に関連するマニュアルの特記事項です。
このもとで運用する場合は、必ずお読みください。
@帳簿(補助簿も含める)には事業のすべての取引データの登録と保存が必要です。
A会計職人では、最初の記録段階から一貫して帳簿を作成します。
取引明細の入力は個々の取引単位(仕訳明細単位)で行え、また保存が可能です。
B帳簿入力項目はテキストデータで入力、保存されます。手書き運用はありません。
またイメージファイルではありません。
C会計職人では、記帳時に一貫して訂正/削除履歴を保存する機能があります。
その機能を実施する/実施しない選択機能もあります。
Dシステムの運用に際し、電子計算処理に係る事務手続きを明らかにした書類及び
電磁的記録の備付け及び保存に関する事務手続きを明らかにした書類を整備する必要があります。
E会計職人では、帳簿のデータを作成するシステムと検索のシステムは一体のため、
検索に使用する帳簿のデータは承認を受けて保存しているデータと常に同一です。
F帳簿のデータを速やかに画面や書面に出力できるようにするために、データ量を
考慮した閲覧環境の整備が必要です。
検索においても同様です。
◇「資金繰表」と「総勘定元帳」
会計職人においては「総勘定元帳」は「資金繰表」をもとに、下記説明の通り一括で自動作成されます。
入力操作は何もありません。
<前提>
・会計職人では、取引明細登録時に使う「科目」と、損益計算書で使う「損益科目」
貸借対照表で使う「貸借科目」があります。
「科目」は必ず「損益科目」または「貸借科目」に紐づいています。
(「資金移動」等の科目を除く)
・「総勘定元帳」は、損益科目、貸借科目の括りで作成します。
<説明>
・「資金繰表」の取引明細を複式簿記と同様に借方/貸方から2つの明細を生成し、
それぞれの明細を損益科目/貸借科目それぞれの科目順、日付順に並び変え
損益/貸借科目ごとの括りで作成します。
・それぞれの括りの中で「内訳科目」は損益/貸借科目ではなく取引明細の「科目」
(または預金関連は「口座」)で記載します。
・「総勘定元帳」では「借方」「貸方」の用語を用いています。
・記載内容は「日付」「物件/事業」「科目(または口座)」「備考」「取引先」
「金額」に「相手科目」を付加しています。相手科目以外は「資金繰表」の
各項目内容のままです。
従ってそれぞれの明細の相互関連性は「日付」「科目(または口座)」
「物件/事業」「備考」「取引先」「金額」の項目から特定できます。
・各ページに年度、作成日、ページ番号が記載されます。
・上記の通り「総勘定元帳」のソースは「資金繰表」ですが、次項説明の通り
「減価償却費」のみ明細を「減価償却表」から自動生成する機能があります。
◇「減価償却表」と「総勘定元帳」
・「減価償却表」は固定資産の減価償却費を自動計算または調整するための表です。
・「総勘定元帳」にはその結果の該当年度の減価償却費を、「資金繰表」になくとも
自動記帳する機能があります。
操作パネルの「その他設定メニュー」の[電子帳簿保存法メニュー]の[電子帳簿保存法の設定]を
選択すると下図の画面が表示されます。
電子帳簿保存法対応に関する設定を行います。
「電子帳簿保存法対応の設定」欄
電子帳簿保存法に対応するか否かを設定します。
・電子帳簿保存法対応にする時は「新たに設定する」をチェックします。
・対応する開始年度を入力します。(初期値は現在年度)
・[実行]ボタンで電子帳簿保存法対応が有効となります。
※すでに電子帳簿保存法対応をされている場合でも再設定できます。
この場合、初めて設定するときと同様に履歴などを初期化しますので、ご注意ください。
電子帳簿保存法対応を有効にすると次のようになります。
・「資金繰表」では前項(1)「3)電子帳簿保存法が求めるルール」に基づく処理となります。
・「資金繰表」「総勘定元帳」「減価償却表」でExcelの直接入力ができなくなります。
・「資金繰表」の開始年度以降の「確定」の取引明細に操作日付と一連番号を付加します。
(通常の操作では表示されません。)
※期の途中から行う場合、それまでの既存の「確定」明細にも上記を付加します。
この時、本来は取引日付と操作日付は別ですが、同一日として付加します。
「履歴を取らない期間の設定」欄
電子帳簿保存法では取引日から1週間以内であれば履歴を取らない運用をすることが認められています。
最大7日間ですが、これを何日間にするかは自由に設定できます。
・現在の履歴を取らない期間の設定内容が表示されます。
・履歴を取らない期間を設定する時は「新たに設定する」をチェックします。
・期間を入力します。(7日間以内です。)
・[実行]ボタンをクリックすると、そこから有効になります。
※上記の結果としての、操作日付や一連番号および履歴等の追加データは、
通常の操作では表示されません。
※[電子帳簿保存法メニュー]の「履歴の操作」欄の運用/操作につきましては、「日々の運用編」の
「11.その他設定メニュー」の「(3)電子帳簿保存法対応の運用」の項をご覧ください。