このご質問は特に法人版をご利用のお客様から多くありましたが、個人事業でも同様です。
■制度上の話
□法人事業では、厳密にいうと「創立費」と「開業費」とは別れていて、前者は法人設立の
ための費用、後者は法人設立後に事業を開始するための費用、ということになります。
個人事業では、上記のような区分けはなくすべて「開業費」となります。
※減価償却対象の固定資産(建物等)は含まれません。
□これらの「創立費」や「開業費」は、初年度の経費とせず、繰延資産として計上し、
年度ごとに任意に償却できます。
これらの額が大きい時は、それを利用すれば以後各年度の節税上のメリットがあります。
■会計職人の処理
会計職人ではこれらの科目は、以下の理由であらかじめ用意していません。
・大家業の場合これらの費用の額はあまり大きくなく、処理の面倒さに比べ任意償却のメリットが少ない
・翌年度以降はほとんど使われない科目となる
ということで少額の場合はお勧めしません。
初年度の経費にしてもいいと思います。
しかし会計職人では、必要であればご自分で科目等を追加できますので、次項の方法で処理できます。
「開業費」の事例を挙げますが「創立費」も同様です。また法人版の事例として記載します。
◇開業費の処理の操作
「開業費」の一連の処理を行うには、取引の記帳で使う「科目」だけでなく、「貸借科目表」の
貸借科目、「損益科目表」の損益科目の追加も必要となります。
例として「貸借科目表」には「305開業費」(繰延資産のグループ)を、
「損益科目表」には「425開業費償却」(販売費及び一般管理費のグループ)を、
「科目表」には「761開業費費用」「762開業費償却」(会社事業の科目分類グループ)の
科目を追加するとします。
※個人版の場合は「貸借科目表」は追加ができませんので、空白欄で「22開業費」、
同じく「損益科目表」では「16開業費償却」などとしてください。
また「科目表」は賃貸経営の科目分類で「451開業費費用」「452開業費償却」などとしてください。
以下、操作方法です。(個人版も同様ですが科目を置き換えてください。)
1)「貸借科目表」の[貸借科目追加]メニュー画面で「305開業費」を追加します。
種別は「資産」です。あとは入力不要です。
追加後「固定資産の行の前か後か…」と聞いてきますので[後に追加]をクリックします。
2)「損益科目表」の[損益科目追加]メニュー画面で「425開業費償却」を追加します。
種別は支出です。あとは入力不要です。
3)「科目表」の[新規科目の追加]メニュー画面で「761開業費費用」「762開業費償却」を追加します。
「761開業費費用」では、貸借科目表欄に上記1)の「305開業費」を設定します。
「762開業費償却」では、損益科目表欄に上記2)の「425開業費償却」を設定します。
(いずれも収支欄は「支出」、消費税欄は「仕入」とします。)
4)上記の科目を使って「取引明細表」を記帳します。
・開業にかかわる費用は「761開業費費用」を使います。
※この取引は、決算申告時に貸借科目表の「305開業費」に集計されます。
※設立前の場合は、日付を設立日とするのがいいと思います。
・ 期末に償却する場合は「762開業費償却」の科目を使います。
この場合、現預金欄は貸借科目の「305開業費」を使います。
※この取引は、決算申告時に損益科目表の「425開業費償却」に集計され、また
貸借科目表の「305開業費」から減額されます。
★「創立費」も同様ですがあまり科目が増えても面倒ですので、上記の「開業」の名称を
「創立開業」として同じ科目をお使いになってもいいと思います。
★会計職人では前の決算日翌日から決算日までを年度ととらえますが、法人設立前の
取引で前年度の場合は、その日付ですと対象外になりますので、必ず設立日以後の日付で
まとめて記帳してください。