ここでは給与支払いの対象となる専従者がいる場合の処理について
説明します。
専従者給与では、毎月の支払給与がそのまま事業の経費になるわけでは
ありません。
その支払額のうち専従者の所得税にあたる部分を、事業者が預かり
(源泉徴収)、専従者に代わり事業者が税務署に納付します。
このために少々ややこしい処理が必要となります。
専従者の給与のために使う科目は以下の通りです。
まずは確定申告のための科目です。
「損益科目表」では専従者給与のための科目があらかじめ設定してあります。
不動産用では科目NO.20「専従者給与」、一般用では科目NO.38「専従者給与繰入」
です。
ここに専従者給与(源泉徴収前)の年間の集計をします。
「貸借科目表」では専従者給与の源泉徴収を預かるのに、科目NO.30「預り金」を使います。
ただこの科目はバージョンによってはあらかじめ用意されていない場合があります。
その場合は以下の操作で登録してください。
(不動産事業で負債科目の科目NO.30に「預り金」という名称で登録するとします。)
・「貸借科目表」の表に移動します。
・科目NO.30の行にマウスをあて右クリックし「科目内容修正」を選択します。
・表示される操作画面で科目名称「預り金」と入力し[修正]をクリックします。
以上の操作で貸借科目の「30.預り金」が登録されます。
次に「資金繰表」や「収支予測」で日々の取引明細を登録するための科目です。
標準の「科目表」では、「431専従者給与」「331専従者源泉」「432専従者納税」の
3つの科目があらかじめ用意されています。
バージョンによってはこれらの科目はあらかじめ用意されていない場合があります。
その場合は次の操作で、いずれも「科目表」に登録します。
◇専従者の給与の科目は、賃貸経営の科目分類グループの科目として
「431.専従者給与」(支出の科目)と登録するとします。
操作は次の通りです。
・「科目表」に移動します。
・賃貸経営グループの科目行(どこでもいいです。)にマウスをあて、
右クリックで「新規の明細を追加」を選択します。
・表示される画面で、収支は支出、科目NOは431、科目名称は「専従者給与」と入力します。
・損益科目表(不動産)欄は▼で「20.専従者給与」を選択します。
・確定申告科目表欄は▼で「50.専従者給与(控除)額の合計額」を選択します。
・[追加]ボタンをクリックすると登録されます。
以上のように登録すると、この科目を使った取引金額が「損益科目表」の自動計算で
「20.専従者給与」に、「確定申告科目表」の自動計算で「50.専従者給与(控除)額の合計額」に
集計されます。
◇源泉徴収する所得税の科目も同様に賃貸経営科目分類グループに
「331.専従者源泉」(収入の科目)と登録するとします。操作は次の通りです。
・賃貸経営グループの科目行にマウスをあて、右クリックで「新規の明細を追加」を
選択します。
・表示される画面で、収支は収入、科目NOは331、科目名称は「専従者源泉」と
入力します。
・損益科目表(不動産)の設定は不要です。
・貸借科目表(不動産)欄で▼で「30.預り金」を選択します。
・[追加]ボタンをクリックすると登録されます。
以上のように登録すると、この科目を使った取引金額が「貸借科目表」の期末残高自動計算で
「30.預り金」にプラス集計されます。
◇預かり所得税納付の科目も同様に賃貸経営科目分類グループに
「432.専従者納税」(支出の科目)と登録するとします。操作は次の通りです。
・賃貸経営グループの科目行にマウスをあて、右クリックで「新規の明細を追加」を
選択します。
・表示される画面で、収支は支出、科目NOは432、科目名称は「専従者納税」と
入力します。
・損益科目表(不動産)の設定は不要です。
・貸借科目表(不動産)欄で▼で「30.預り金」を選択します。
・[追加]ボタンをクリックすると登録されます。
以上のように登録すると、この科目を使った取引金額が「貸借科目表」の期末残高自動計算で
「30.預り金」にマイナス集計されます。
以上で科目の設定は完了です。
以上の科目を使って専従者の給与は次のように運用します。
専従者給与は毎月一定額の場合が多いでしょうから「収支予測」に登録しておくと
便利です。
資金繰表に反映した時、自動的に毎月の明細が生成されます。この時「資金繰表」では
日付が来たら単に「確定」すればいいだけになります。
「収支予測」では次のように登録します。
(例として、毎月の給与は120,000円、源泉徴収が20,000円、手取り100,000円と
します。
実際は源泉徴収税額は所定の算出方法により計算されます。)
<専従者給与の登録>
・専従者給与を処理する物件/事業の行にマウスをあて「新規の明細を追加」を
選択します。
(専従者給与は個別の物件ではなく全体に関わるでしょうから、物件/事業は
その他不動産事業のようなものが設定してあるならそれをお使いください。
設定してなければ、メインの物件の事業に登録しても結構です。)
表示される画面で次のように登録します。
・月間/年間の予測では月間の予測を選択します。
・日付は給与支給日(月内の日にち)を入力します。
・科目は「431.専従者給与」を選択します。
・金額は120,000円を入力します。(非課税です。)
・現預金は出金する口座を選択します。
・他の項目は必要に応じて入力します。
・[追加]をクリックして登録します。
<源泉徴収の登録>
以下を除き、上記と同様に登録します。
・科目は「331.専従者源泉」を選択します。
・金額は20,000円を入力します。(非課税です。)
・[追加]をクリックして登録します。
<預かり所得税納付の登録>
専従者から預かった所得税は、毎月税務署に納付します。届出書を提出することにより
半年ごとに納付することも可能です。
毎月納付する場合は、以下を除き上記と同様に次のように登録します。
・科目は「432.専従者納税」を選択します。
・金額は20,000円を入力します。(非課税です。)
・[追加]をクリックして登録します。
半年ごとに納付する場合は、以下を除き上記と同様に次のように2行登録します。
<1行目(第1回納税)>
・月間/年間の予測では年間の予測を選択します。
・科目は「432.専従者納税」を選択します。
・日付は第1回の納税日(月日)を入力します。
・金額は半年分120,000円を入力します。(非課税です。)
・[追加]をクリックして登録します。
<2行目(第2回納税)>
上記と同様ですが、日付のみ第2回の納税日にします。
以上を登録後、「資金繰表の更新」で資金繰表に反映します。
「資金繰表」では、毎月この金額でよろしければ、日々の登録では、該当日に明細行を
確定にするだけです。もし金額が変わったら、修正します。
専従者の状況によっては、毎月の源泉徴収する税額と、実際に税務署に収める税額が
違う場合があります。
この場合は、その差額を12月度の源泉徴収税額に加算/減算して調整します。
(これを年末調整といいます。)
この計算方法等の詳細は、税務署又は税理士にご相談ください。
上記の差額の処理は次のようにします。
税務署に納付する税額よりも源泉徴収された税額が多い場合は専従者にその差額を返済します。
少ない場合は専従者からその差額を追加徴収します。
「資金繰表」の年末調整の操作は次の通りです。
・上記の例で15,000円の差額があるとします。
・すでに上記例の「収支予測」や「資金繰表」の明細があるものとします。
・12月度の上記取引明細の科目が「331.専従者源泉」の明細行を修正します。
(その行にマウスをあてます。)
右クリックし「現在の行明細を修正」を選択し、表示される画面で次のように入力します。
・金額を源泉徴収税額が多い場合は「元の金額-15,000」円を入力します。
少ない場合は「元の金額+15,000」円を入力します。
(上記の結果マイナスの数値になっても結構です。)
・[修正]をクリックし登録します。
「資金繰表」の年末調整差額がある場合の預かり所得税納付の操作は次の通りです。
・すでに上記例の「収支予測」や「資金繰表」の明細があるものとします。
・1月度の上記取引明細の科目が「432.専従者納税」の明細行を修正します。
(その行にマウスをあてます。)
右クリックし「現在の行明細を修正」を選択し、表示される画面で次のように入力します。
・金額を源泉徴収税額が多い場合は「元の金額-15,000」円を入力します。
少ない場合は「元の金額+15,000」円を入力します。
(上記の結果マイナスの数値になっても結構です。)
・[修正]をクリックし登録します。
以上が専従者給与の処理です。